SDGsとは?

2022年03月14日

最近CMやニュースなどで耳にする機会が増えた「SDGs」をご存知ですか? 今回は、SDGsとは何かそしてなぜ話題になっているのかについて紹介します。

SDGsとは

SDGsは「エスディージーズ」と読み、英語のSustainable Development Goalsの略称です。日本語では「持続可能な開発目標」となります。

SDGsは、2015年の国連サミットにおいて全会一致で採択された、国際社会全体が取り組む目標です。17のゴール(目標)とそれをさらに具体化した数値目標を含む169のターゲットが採択され、「地球上の誰一人として取り残さない」ことを誓い、2030年までに達成することを目指しています。

企業、地方自治体、各個人などすべての主体がこの目標を共有し、それぞれの立場から取り組んでいくことが求められています。


●「持続可能な開発目標」とは?

SDGs(Sustainable Development Goals )は、日本語訳では「持続可能な開発目標」となりますが、一体どのような意味なのでしょうか。

「持続可能な」とは、地球や社会の環境が将来にわたって維持されることを指しています。たとえばガソリンで走る車は、やがて枯渇する石油燃料を使っていること、CO2排出により地球環境にダメージを与えていることにより「持続可能」とはいえません。つまり、ガソリン車を減らして他のエネルギーで走る車を推進することが「持続可能な開発」の一例ということになります。

さらに、今では日本語にもなっている「サステナブル」は、現在では「環境を破壊しない」という意味合いだけでなく、非常に多岐にわたる内容を示して使われます。

たとえば「sustainable company(持続可能な企業)」とは、単に業績がよくて今後も事業が継続できる企業というのではありません。サステナブルなカンパニーとは、

  • 地球環境を破壊しない企業活動をしている
  • 消費者にとってその企業の商品やサービスは継続的に購入したいものである
  • 従業員にとってその企業はずっと働きたい職場である

といった要素をすべて含めて「サステナブル」と呼んでいます。

「今業績がいい」というだけでなく、こうした条件を満たす企業が永続して、最終的に「持続可能」なのだ、と考えれば理解しやすいかもしれません。


●SDGsの17の目標とは?

SDGsの17の目標とはどんなものでしょうか。17の大きな目標の中身を少し見てみましょう。

この6つの目標を見ていると、貧困や飢餓、健康や教育、さらには安全な水など開発途上国に対する支援に見えます。

しかし実際には、日本の子どもの6人から7人に1人が貧困だと言われていたり、ジェンダー平等に関しても2020年12月に世界経済フォーラムで発表された数字によると153カ国のうち121位と、とても低い数字になっていて、これらの目標は先進国である日本国内でも当てはまることだと言えます。

では次の7~12を見てみましょう。 

この辺りになると、エネルギーの話、働きがいや経済成長の話も出てくれば、まちづくりの話まで出てきます。これらはまさに先進国である日本も密接に関係する目標です。

さらに、13~17を見てみましょう。

最初の3つは地球環境に関する話、最後の2つは、すべての目標を達成するために欠かせない平和とパートナーシップを明文化しています。

SDGsが世界でこれだけの広がりを見せているのは、開発途上国だけではなく先進国も、働きがいや経済成長までも踏まえたものだからだと言えるでしょう。


●SDGsの「5つのP」とは

SDGsのめざすものとして国連は「5つのP」をキーワードとして挙げています。

  • 人間(People)
    すべての人の健康的な生活、平等、教育環境などの保障をめざしています。
  • 地球(Planet)
    温暖化、海水面の上昇など多くの危機に直面する地球環境を破壊から守り育てます。
  • 豊かさ(Prosperity)
    すべての人が経済的に持続し、充実した生活を送れるようにします。
  • 平和(Peace)
    あらゆるレベルで暴力や恐怖を排除し、平和な世界をめざします。
  • パートナーシップ(Partnership)
    国際機関、政府、企業、社会、市民など多様な参加者がグローバルなパートナーシップを維持・推進します。


SDGsの17のゴールは、これらの「5つのP」をより具体的にしたものと言えます。 


SDGsが話題になっている3つの理由

2015年に国連で採択されたSDGsですが、最近メディアなどで話題になることが増えてきました。なぜ今注目を集めているのでしょうか。3つの観点からその理由をみていきます。

1.世界全体が共有する危機意識の高まり

地球環境は深刻な課題を数多く抱えています。エネルギー問題ではCO2排出量の増加による温暖化、異常気象や自然災害の増加、森林の砂漠化と水不足などです。

一方、人が生活する社会においては、国際紛争の影響もあり貧困や差別などの問題が未解決です。それにもかかわらず、世界人口は現在の77億人から2050年には97億人へと増えるとも予測されており、もしかすると貧困層が増え、環境破壊が進み、足りない食料や資源を奪い合って争いが絶えなくなるという事態が起こるかもしれません。

「このままではいけない」という意識が多くの人にはっきりと認識されていることが、SDGsの採択とその推進という行動に表れています。

2.先進国・発展途上国に共通する、わかりやすい目標設定が成功

SDGsの前身として、2000年に採択された「MDGs(ミレニアム開発目標)」がありました。開発途上地域における課題を取り上げ、2015年までに達成すべき8つの目標を設定したものです。

MDGsは2015年までに極度の貧困や飢餓の減少、感染症対策などで一定の成果を上げましたが、教育・医療など目標達成できなかった分野もあります。またこの間、先進国でも国内に貧困問題を抱えていたり、環境破壊や自然災害の問題に直面したりといった状況が増えました。

国連では次なる行動を検討するにあたり、先進国も発展途上国も歩みをそろえて課題を解決する枠組みを策定しました。それがSDGsです。

SDGsの目標設定はMDGsの倍以上の17の目標を掲げることとなりましたが、結果的にはどの国や地域にとっても取り組みやすいような包括的かつ具体的な内容となっています。

この17のゴール設定がわかりやすく、かつ、それを表現するカラーロゴのデザインが印象的で、SDGsの内容とともに効果的に世界に広まったことにより、SDGsの認知はより加速化されたと思われます。

3.ビジネスチャンスとしての重要性が認知された

2015年の採択から現在までに、SDGsという名称とその内容が徐々に広まってきています。そのため企業は、SDGsは経営やマーケティングなどの観点から無視できないと認識し始めています。

例えば、ジャパンSDGsアワードは、2017年に創設され、同年12月に第1回表彰がありました。SDGs達成に貢献する優れた取り組みを行っている企業・自治体・団体・教育機関などを幅広く公募し表彰することで、SDGsへの取り組み促進と広く広報・啓発をする狙いがあります。受賞団体とその取り組み内容はすべて公式サイトに紹介されています。

こうした状況から、SDGsへの取り組みを積極的にアピールする企業が増えています。今後さらに投資家や消費者にもSDGsが認知されることにより相乗効果が生まれ、SDGsの目標にかなうマーケットがいっそう拡大していくことが期待できます。


まとめ

2015年にスタートしたSDGsは、当初は一般に広く認知されていくかどうかについて懸念もされていましたが、2017年位までにかなりメディアでも頻繁に取り上げられるようになりました。

日本国内では政府が「SDGsアクションプラン2019」を策定し、財界や地方のSDGsへ向けての取り組みを推進しています。2017年度より、企業や団体の取り組みを表彰する「ジャパンSDGsアワード」も開始され、SDGsをビジネスチャンスとして捉えた企業が注目を浴び、環境や社会に配慮した優良企業というイメージアップにもつながる好循環も生まれています。

SDGsは、普遍的な目標として「誰も置き去りにしない」という約束を掲げています。先進国と途上国、そして企業と私たち個人がともに手をとって目標達成のために努力をしていかないことには、貧困の解消や格差の是正といった深刻な問題は解決できません。

私たち一人ひとりにも、できることは数多くあります。SDGsを特別なものとしてではなく、それぞれの活動、生活の中に浸透させていくことが大切です。


参考文献:イマココラボ 千葉商科大学