浄水場について

2022年06月17日

今回は人々にとって大切なお水を支えている浄水場の仕組みについてご紹介します。 

浄水場の役割

浄水場は河川や湖沼、ダムから取り入れた水を浄化・消毒するための施設で、私たちに安全な飲み水を届けてくれています。その浄水場には、大きく3つの役割があります。


安全な水を供給する

浄水場の大きな役割は、消費者に安心で安全な水を確実に供給するということです。私たちの日常生活に欠かせない水は、飲み水や毎日の調理、お風呂など、様々なの用途で使用しています。この水道水に何らかの病原菌や有害物質が含まれていれば、日本全体として病気が蔓延することにもなりかねません。

水の安全性を確保することが浄水場の最も重要な役割と言えるでしょう。


有害物質を取り除く

安全な水を供給するためには、その水に含まれている有害物質を取り除かなければなりません。浄水場で浄化・消毒する前の水の中には、ヒ素やカドミウムなどの人体に有害な物質や、農薬や大腸菌などの病原菌、農薬や塩素などの身体に不要な物質が含まれていることがあります。それらを取り除くために、浄水場で浄化・消毒が行われています。

ただし全てを取り除くというのは難しく、浄水場では上記のような有害物質が基準値を超えていないかどうかを監視する役割も担っています。

人体に害のないレベルであれば少量程度は含まれていても問題ありませんので、浄水場ではその基準値をきちんと下回るように水の濾過や消毒を行なっています。 


美味しく飲めるお水にする

基準値を全て下回る状態の水質であっても、水が美味しいかどうかは別です。
水道水の安全性を確保するのと水の味とはまた違う問題で、かつては基準値を下回っていれば多少カルキ臭い水であっても問題視されずに供給されていました。

しかし現在の浄水場では当たり前に高度浄水処理を行なうようになり、水道水の味についてもより美味しい物にできるように努力しています。


浄水場の仕組みとは?

安全で安心な飲み水を供給するために、浄水場にはいろいろな仕組みが施されています。その仕組みについてお伝えします。


着水井(ちゃくすいせい)

水道水として家庭に供給されるまでの水のことを「原水」と呼びますが、この原水が浄水場の中で一番最初に流れ込むのがこの着水井という部分になります。

着水井とは、原水の量を調節するところです。

河川や湖沼、ダムなどの水源から取水設備を使って浄水場へと原水を取り入れ、まずはその中に混じった土や砂利といった細かい異物を沈めて取り除くために「沈砂池(ちんさち)」という所に運びます。水源から流入したこれらの異物をある程度取り除いた後、導水管を通って浄水場内の着水井へと原水が運ばれます。


沈殿池(ちんでんち)

着水井の時点でもまだ取り除きれていない土や砂利といったさらに細かい異物を取り除くために存在するのがこの『沈殿池(ちんでんち)』です。 

着水井から沈でん池に運ばれた原水に、凝集剤(ポリ塩化アルミニウム)を注入することで、水中に浮かんだ異物が大きな塊として凝集することで底に沈んでいきます。 この大きな塊が底に沈むことで、原水から異物が次々と取り除かれます。


急速ろ過池

沈殿池から運ばれた原水は次に、急速ろ過池に運ばれます。急速ろ過池では、沈殿池で凝集しきれず取り除くことが出来なかった微小な異物を、砂と砂利の二層を順々に通過させることで目には見えない大きさの異物まで取り除くことができます。


消毒設備

急速濾過池で異物を取り除かれた原水は、次に消毒設備へと運び込まれます。 この消毒設備では原水に次亜塩素酸ナトリウムを加え、水を飲める状態にまで消毒します。ただしこのままではカルキ臭さが残ってしまいますので、総仕上げとして高度浄水処理という方法が導入されるようになりました。


配水池

水の安全性を確保できた時点で、家庭へと供給するまでの間はこの配水池にて保管されます。

この配水池は倉庫的な役割を担っている一方で、水の消費量に応じて水量を調節する役割も同時に担っています。また、地震などの災害が発生した際の飲み水を確保する場所でもあります。

日本の水道水が枯渇しないのも、こうした節約兼貯水機能があるからです。


高度浄水処理

以前から存在する浄水処理だけでも安全性の高い水道水は供給できていたのですが、季節や水源の状態によっては原水の消毒をかなりきつくしなければならず、水道水に有機物や臭いが微量ながら残っていました。いわゆる「カルキ臭」と呼ばれる臭いがその一つです。

そこで今までの浄水処理をさらに発展させ、水の安全性だけでなく味も追求するために開発されたのが、 高度浄水処理です。 

ここで使用するのは主に二種類の物質のみで、オゾンと活性炭です。
手始めにオゾン処理をすることで水道水の中に混じった有機物や臭い物質を分解し、次に活性炭を投入することで水中に残った微量な物質までをほぼ取り除くことができます。
この処理方法を活用することにより、日本の水道水はより一層安全でおいしい水道水を提供することができるようになっています。


ポンプ場〈給水方式〉

配水池から運ばれた水道水は、私たちの世帯へ供給されるのですが、ポンプによる水圧のかけ方で2つの給水方式があります。


直接給水方式…給水管の途中に増圧用ポンプを設置することで水圧を強めながら、ビルやマンションのような高層階にも直接水道水を供給するという方式です。

貯水槽水道方式…受水槽に水道水を貯めてから、 水をポンプを駆使しながら屋上階に設置されている高置水槽まで運び込み、各家庭には自然落下を利用する形で供給するという方式です。


↓ それぞれの給水方式の詳細やメリット・デメリットはこちらのページより確認できます。

給水方式の仕組み


まとめ

現在では技術の発展により、蛇口をひねるだけでおいしくて安全な水を飲むことができるようになりました。飲料水としてはもちろんのこと、調理用にも安心して使用することができるのは、浄水場のおかげです。