水道法改正案とは


平成30年12月12日に人口減少に伴う水需要の減少、水道施設の老朽化、
深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤強化を図るため、水道法が改正されました。


厚生労働省ホームページ引用


今回水道法が改正されるにあたって、 「コンセッション方式」がより導入されやすくなりました

コンセッション方式とは、水道の所有権を自治体に保有させたまま、運営権を民間企業に一定期間委託する

ことです

コンセッション方式のメリット

  • ・国や自治体には売却益が入り、運営のための財政負担がなくなります
  • ・民間のノウハウ導入による経営の効率化、マーケット・リスクの移転、行政組織のスリム化なども期待されています
  •  ・効率的な運営が実現できれば、水道事業を利用したさまざまなサービスの展開や、潤沢な資金による施設の補強も可能となります   
  • ・民間事業者が所有する技術やノウハウを最大限活用し、不必要な経費については効率化しつつ、料金収入をあげるために、顧客サービスを充実させるはずです
  •  ・競合によるサービスの質が向上することが期待でき、利用者も自分で水道事業者を選ぶことができるかも知れないし、利便性も向上する可能性があります     
  • ・民間事業者が公共の施設の管理・運営を行うことより、今後も減少する公共職員の補完が期待できるでしょう

コンセッション方式のデメリット

・水道事業を一部民営化することで、採算が取れない場合、水道料金が上がる可能性が高くなります

・運営が適切に行われなければ、水質低下の可能性があります 

 フランスでも未殺菌のままでは飲めない水が提供されるなどの問題が頻発しました

 ・ビジネスとしての論理が優先される、収益を得る事が優先目的となり、利益の確保の為に「削られる部 分」が出て来る可能性も


海外民営化事例

海外では、水道事業を民営化した後、様々な問題が生じて公営化に戻す「再公営化」の動きが目立つそうで、2000年から2015年の15年間で、37カ国235都市で再公営化がされているそうです。

 親日家で知られるジャック=シラク前大統領がパリ市長だった1995年に水道の民営化を実施した。民営化が始まってから水道料金は1995年から08年までに174%増で水道の質も下がりました

2001年にパリでは130年ぶりに政権交代が起き、左翼姿勢になったがベルトラン=ドラノエ市長は2010年、水道を再公営化されました

イギリス 民間に売却・委託された水道で、料金高騰や質の低下が起き、請負企業の大規模な破綻などが発生し、社会問題となっている。英国は世界に先駆けて、1989年に民営化した水道事業では、料金が実質40%以上値上がりする一方で、水道企業は毎年100億ポンド(約1兆4480円)の利益を上げていることが明らかにされました

南アフリカ 民営化後、料金高騰で支払えない約1千万人が水道を止められ、汚染した河川の水を使いコレラが蔓延。ボリビアでは料金が跳ね上がり暴動が発生したケースもありました

マニラ 1997年に水道事業を民営化しましたが、米ベクテル社などが参入すると水道料金は4~5倍になり、低所得者は水道の使用を禁じられました

ボリビア 1999年に水道事業を民営化したものの、やはりアメリカのベクテルが水道料金を一気に倍以上に引き上げ、耐えかねた住民たちは大規模デモを起こし、200人近い死傷者を出す紛争に発展しました